金田式DAC製作のその3

金田式DAC製作のその3です。

金田式真空管DACの製作

金田式真空管DACが発表されて一年になろうとしています。
真空管を12本しかもWE396Aという高い球を使用されていたので、作る予定は無かったはずでした。
が、サブミニチュア管を使えば安くできることや半導体DACより音が良いことを知ったら、作る気まんまんになってきました。
ただ、サブミニチュア管だと抵抗等の値も変更になるだろうし、躊躇する気持ちもありました。
真空管の通販サイトを何気に見ていたら、WE396Aの互換球を見つけました。
ロシア(当時はソ連かな)の6N3という球で、値段もサブミニチュア管よりも安し、音も良いそうです。
この球で作る決心をしたら、直ぐにアメリカから購入しました。
ペア選択(双三極管なので1本でペア)する必要があるので、20本ゲットです。
一本5ドルぐらいで送料が45ドルでしたが、4日で届きました。

真空管

真空管が届くまでにRコアトランスも発注しておきます。
球のペア選択をするために、選択用基板も作成しておきます。
テスターを使ってEc電圧を測定していき、値の良い物から使っていくことになります。

真空管選別

真空管アンプ部もさっさと製作しました。

真空管DAC途中

真空管方式の場合は、調整箇所が沢山あります。
IVC回路のIo電流を7mAとするために、+112V電源とプレート間に10Ωの抵抗を入れて、この抵抗両端の電圧を70mVになるように調整します。
測定のたびに半田付けをやり直すのはいやなので、基板上にピン端子(通常はショート)を追加して、調整用のRs抵抗を半固定抵抗にしておきます。
DSC回路のIo電流も同様に調整しますが、DSCの場合は、AOC回路が付いているため、何もしないとIo電流は流れません。
ここは焦らず、AOC回路の調整用Rs半固定抵抗も一緒に廻して、電流の流れるポイントを探しますが、このポイントが本当に微妙なので焦らずに色々と試すことが肝心です。

真空管アンプ部

デジタル部は、既に4回も製作しているので、簡単に作れます。
今回はBZC(バイポーラゼロキャンセル)回路をデジタル部の出力部分に追加しました。

電源部は、デジタル部用の5Vレギュレータと3.3Vレギュレータを、真空管アンプ部用の6.3Vレギュレータ(記事では1個ですが、発熱を考えて2個用意)と-12Vレギュレータを製作します。
真空管アンプの電源は、記事では真空管のWE412Aが使われていますが、音の評判が悪くないSBD(ショットキーバリアダイオード)にして簡単にしました。
トランスの二次電圧の計算をミスって100Vと105Vにしたため、整流後の電圧が135Vと-145V(記事では112Vと-120V)になってしまいました。
80Vと85Vが正解だったようですが、結果的には問題なく動作したのでOKとしましょう。

デジタル部と真空管アンプ部を接続して、電源を入れます。
今回は慎重に作ったので、一発で動作しました。
IVC部のゼロバランスをBZC回路の半固定抵抗で調整して、DSC部のゼロバランスはAOC回路の半固定抵抗(先ほどの半固定とは別なもの)で調整を行います。

ケースは色々と検討しましたが、以前に製作したDCパワーアンプが転がっていたので、ケースを借用することにしました。
真空管は熱を持つので、排熱用の穴も大きく開けます。
ケースが小さいので、電源部を一階に、アンプ部とデジタル部を二階に配置しました。
両サイドのヒートシンクには、ヒーター用6.3Vレギュレータの三端子レギュレータと、デジタル部用5Vレギュレータのトランジスタを取り付けてあります。
電源を入れて一時間すると、天板は熱々でケースも全体的に熱くなりますが、触れないほどではないので、風通しの良い処に置けば、問題ないでしょう。

外観

中身

試聴した感想ですが、
厚みと艶が段違いに良いです。半導体DACには戻れません。
細かな部分では欠点もあるかと思いますが、それらを払拭させる力があるので、音楽に没頭できます。
これをメインDACとします。
みなさんもチャレンジされては如何でしょう。

FN1242Aを超えるDACは無いかと探していたら、旭化成エレクトロニクスの32bit対応DAコンバーターAK4399を見つけました。
このチップの入手は難しいようですが、EMISUKE氏がDACキットとして頒布されていました(現在は完売)ので、入手しました。

EM-DAC-4399Dその1

製作するとこうなります。

EM-DAC-4399Dその2

電源部は自前で用意します。

EM-DAC-4399Dその3

仮組みの状態で試聴してみました。
最初、音が出なくて、二時間以上かかって、半田付けのやり直しやICの半田付けのチェックなどをしましたが駄目です。
むーんと困っていましたが、良く見ると、入力1と思っていたら入力2に接続していたようです。
繋ぎ変えたら、あっさりと音が出ました。うーん、ボケたかな。

AK4399の音ですが、最新DACだなぁと思える音というのか、高解像度高レンジで192KHzにアップコンしてあるので、清々しさもあります。
低域もよく出ていてバランスが良さそうです。
もう少し聞き込んでみないと気に入るか微妙ですが、こういう時は大体は気に入らない時です。
オペアンプを変えるか、真空管アンプ部に変更すれば、良くなると思うのですが、そこまでする意味があるかなぁということで、取り敢えず完結です。

もっと好みのDACチップは無いのでしょうか。再び、探索の旅です。
WM8741というDACを発見しました。
リンのネットワークプレーヤーにも採用されたそうで、評判は良いみたいです。

今回は、回路設計から自前でやってみることにします。
第一弾は、WM8741をシングルで使って、アンプ部はFN1241A DAC時のアンプを流用しました。

WM8741その1

感想は、一言で表現すると、スカッと爽快です。
ナチュラルでニュートラルなわけで、PCM1794の色付けされた音を良しとするか、味付けなしを採るか、難しいところです。
私としては、この音も捨てがたく、女性ボーカルやクラシック向きかな。
ジャズだともう少しアクが欲しいかも。

DACチップをモノにして二台にしてみましょう。

WM8741その2

シングルDACよりも厚みがありますね。
後は艶を出すために真空管アンプにしましょう。

WM8741その3

やなさんDAC3のケースと電源部にヤドカリして音を聴いてみます。

WM8741その3

試聴したのですが、やなさんDAC3より良いかな。
歌い手の表情が判るようになったのと、全体のバランスもとれていて聴きやすいです。
ヤドカリを止めて、やなさんDAC3のケースに納めてみました。
写真はありませんが、DAI部も仮版から四入力対応の正式版に変更しました。

WM8741その3

やなさんDAC3のケースと電源部を別途用意できるまでは、メインDACになると思います。